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自分らしさってアメージング!#18 下手くそ
デッサンの試験がはじまり、
数秒で感じたこと。
描きづらい、
なんでこの机は斜めなんだろう。
普段水平の机で、画用紙に手を置いて描いている僕にとって、
完全にアウェイ。
手を置いて描けないからか、
まともに直線も描けない。
僕の頭の中は目の前の
白紙の画用紙と同じように真っ白。
それでも描かなければならない。
隣で足を組みながら慣れた素振りでさささっと描く受験生を
視界の端から追い出そうとしながら、
僕は描いて、
描いて、
描いた。
試験も後半に差し掛かった頃、
手を止めて、自分の作品を離れて見てみた。
下手くそだ…。
歪んでるし、
質感も全然出ていない。
斜めの机のせいじゃない、
描いたことのないモチーフのせいでもない、
ただデッサンが下手なんだ。
隣の人がちらっと僕の絵を見た気がした。
僕は縮こまったからだ全身を使って隠したかった。
どうしてこんな試験で合否を決めるんだろう?
そんな言葉が頭をよぎったとき、
「やめ!」
の合図が教室に響きました。
最低だ…。
数本の鉛筆はほとんど芯がなくなり、
ひーひーと悲鳴を上げていました。
僕は道具が少ないからか、
片付けも早く一番で教室を出ます。
唯一、ありがたかったのは
描いた作品をひっくり返して
提出すること。
そして午後、
2次試験が始まりました。